甘くて溶ける

つたない言葉たち

2015.11.14 MORSE


小瀧望 初単独主演舞台

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『MORSE』観てきました。


自分の記録として残したいので、ところどころ振り返りつつ、感想を書こうと思います。

ネタバレあるのでそこだけ注意を!




まず、今回舞台を観るにあたって一週間ほど前にハリウッド映画版「モールス」を観ました。クロエちゃんが主演のやつです。
その映画を見終わって思ったのは、このグロさをどうやってどこまで舞台で描くのか。あとは、設定は狭い世界ではあるけど場面の切り替わりが多いからそれをどうするのか。

それらを踏まえて舞台を見たけど、想像以上に忠実に再現されていました。
エリがヴァンパイアとしての姿で人を襲う場面が何度かあるけど、そこのグロさといったら。むしろ映画より怖いんすけど。シンプルに恐怖を感じました。場面の切り替わりは、小道具の使い方が今まで見た舞台で一番すごくて、なんの違和感もなくどの場所なのか理解できました。(そもそもプロ集団が作り上げたものだから私が心配する必要もないのですが。)


ストーリーをまとめるのは下手すぎるので放棄しますね!!ごめんなさい!!自分の中に印象付けられたものをただ残そうと思います。

まず、のぞむくん演じるオスカー。ストックホルムのアパートに母親と住むいじめられっ子の12歳。舞台が決まった時は、本人も言ってたけど、まあ見た目が無理あるんでねえの!?と思ったけど!けどもだね!全く違和感のないのぞむくんの演技!なによりそれに一番感動した!のぞむくんが立派に俳優さんとしての演技を発揮していました…。言葉で表せない…。184cmという高身長ですが。少し高めの声、内気な性格による言動・行動、あどけない素直な表情、愛らしい目、、、その他諸々が綺麗な金髪の力も後押しして、見事に12歳の少年にみせていました。あんなデカイ身体して三角座りとかするのチョーーーーーかわいい(叫)
現実に戻るような隙が一切無くて、見事に舞台の世界観に引き込まれっぱなしでした。すごい。
そしてエリがやっぱりすごかった。非人間的な動きとか、話し方とか。オスカーといるときは、エリも普通の12歳の少女のようですごく愛らしい。幼い二人のもどかしいピュアなやりとりがたまらなくって思いを馳せずにはいられないのです。でも、ヴァンパイアになった瞬間にエリの表情や目や動きはガラッと変わって、野獣的な怖さや気持ち悪さが一気に雰囲気を変えました。会場の息を呑む感じも、本当に女優さんのすごさを感じました。映画みた限り、正直これは舞台ではどうみせるのか一番勝手に不安に思ってた人物だったので、度肝を抜かれました。

あとは何より演出ですね。すごい!ほんとに!すごい!こんなに生の舞台で身体張ってるの初めて観ました。
人を吊るして首を切って血をボトルに集めて、それを持ち帰ってヴァンパイア達が生き延びているという映画と共通の設定。どうやって表現するのか疑問だったけど、本当に俳優さんを吊るして血のりを垂らしてボトルに集めている…!どう表すかというよりむしろそのまま再現してる…!とにかく「本当にそれをやる」っていうのが今回の舞台MORSEの最大のすごさでした。俳優さんたちの体力や身体能力だけのすごさじゃなくて、本当にやることでそのリアルさだったり生々しさがより一層恐怖心を掻き立てるんです。リアルなものほど怖いものはないと改めて感じました。だってエリが壁を這い上がって病院の最上階に行くシーン、女優さん本当に壁を這い上がってったんだよ、、、グローブ座でそんなことまで出来るの、、、(失礼) オスカーがいじめられるシーンでは、のぞむくんズボン脱がされたりするし、、、
その「本当にそれをやる」にも共通していて、更にわたしが一番息を呑んだシーン。クライマックスで、オスカーがプールに無理やり潜らされそこにエリが助けにくるシーン。お分かりだとは思いますが、小型のプールが本当に出てきたんすよ…。舞台ではオスカーが淵に腰を掛けたら透明のボックス型プールに水が溜まり始めて一気に息を呑み静まり返る会場。なにあの緊張感。なにあの恐怖。そのシーンばかりはどうしても現実に戻って「のぞむくん…!?まさか潜る?え?え!が、頑張って…!生きて…!」と思わずにはいられませんでした。水中に頭を突っ込まされる直前、一瞬緊張した顔をみせたのぞむくんは、一回目を閉じました。目を開けたのぞむくんの顔は覚悟を決めた顔で、オスカーの顔にすぐに戻り、一気に息を吸い込んで潜りました。そこからは時が止まったように、無意識に手を強く握りしめてただ見守るだけでした。演技とはいえ、本当に目の前でのぞむくんが水に潜って、エリが来るまでの1分ほど息を止めてそこにいるんですよ…!耐えられん!わたしが耐えられん!っていうわたし(と会場の雰囲気)。でも水の中でも苦しい辛い助けてって顔をオスカーとして演じきるのぞむくん。かっこよすぎる。エリに助けられ、身体をタオルで拭いて服を着るオスカーをみて、一斉に安堵の溜息を吐く客席。その瞬間にたまらなく生の舞台の楽しさを感じました。これを35回もやるっていうのだからすごいよなあ。

ストーリーが終わって暗転し、明るくなったときにはキャスト全員が横一列に並び頭を下げました。そのときのぞむくんの表情は座長に相応しい、なんとも凛々しい姿で、感動そのものでした。私が大好きになったふわふわ甘えた末っ子のぞむくんが座長やってるよ〜今日も演じきったよ〜そりゃ泣くよ〜。深く頭を下げたあと、はけていくときにぴょこぴょこ跳ねながら可愛らしく去っていくものだから、客席から声にならない「ん〜、っ!♡(可愛いいいいい)」っていう音が漏れて一気に温かみを帯びる会場。なにこれ楽しい。2回目からは照れたように微笑みながら共演者を手招きするのぞむくん。チョーーーーかわよい。カテコ3回目で、一人だけ残って客席全体に照れ顏でぶっきらぼうに片手ずつブンブン手振るのぞむくん。チョーーーーかわよい。なにに照れてるの。最後そのままはけるかと思いきや、クルッと振り返ってワーっと両手でニコニコブンブン手を振るのぞむくん。チョーーーーかわよい。チョーーーーかわよい!!!今日唯一客席から黄色い声で「キャーーー!」「かわいい!」という声が発せられて、のぞむくんがはけきって終了。

色んなものを摂取しすぎて、正直まだ整理できてない…!
でも、映画のときにグロさばかり目立って心情的な部分が読めなかったわたしですが、今日舞台を観て、登場人物それぞれの心情をメインにストーリーが流れていくのを観ることができました。やっぱりそれが生の舞台での楽しさを感じる大きなポイントでもあるなーって思います。事細かく説明的なセリフばかりの舞台は感情移入できないし、アバウトすぎても理解するのに精一杯で気持ちが入りきらないんですよね。でもMORSEは、動きや道具の力でストーリーを語り、演技で登場人物の心情を魅せて、すごく良くバランスのとれた素敵な舞台だと私は思います。独特な世界観をもんわりとそこに創りだしていて、異空間なんだけどこの世に本当にそういう場所がありそうな、そんな不思議な感覚を残す作品でした。

全然上手くまとめられてないけど、観ないと分からない伝えられない感動があるので、これから行く方はぜひお楽しみに。
もう一回観れるチャンスがあるので、また気づいたことがあれば追記します。

のぞむくんの新たな魅力を知れた気がしてすごく幸せです。かなり体力も使うお芝居ですが、オスカーを全身全霊で演じきるのぞむくんを最後まで応援したいと思います。ファイト!